「現代書林事件」で見えてくる「国体思想」を背景にもつ国家権力の「集合的無意識」

雑誌「創」編集長の篠田博之氏がザ・ジャーナルに、現代書林の薬事法違反事件の裁判について書いている。



この事件は〝ガンが治る〟など、いわゆる「バイブル本」といわれている本で効能・効果をうたって、健康食品やクリニックなど、クライアントの宣伝効果を狙うもので、それが薬事法に引っかかったということだ。

しかし、かなり怪しい・・・

続く↓

確か現代書林は、その出版物の多くが自費出版ではないかと思う。
というのはかなり前のことになるが、そこの社員と話す機会がありわかったことで、通常、出版社の場合の営業というのは、書店や取次会社などに対する営業を指すが、現代書林の場合は、電話で自費出版を勧めたりする部署のことだということだった。今はわからないが、別の自費出版専門の版元の直近情報を知っているが、だいたい同じようなので、そう変わってはいないだろうと思う。

だから、昨年、4人が逮捕されたと報じられた時は驚いた。


検察に死の花束を捧ぐ


*****にほんブログ村 政治ブログへ***人気ブログランキングへ********


通販新聞によると、

≪(現代書林のクライアントであった)キトサンコーワがバイブル本を製作したのは2001年9月で、約1万部を製作しており、このうち5000部はキトサンコーワが商品同梱物として顧客に送り、残り5000部は現代書林が書店に卸していた。
「在庫分や返品されたものは連絡先のページを切り取る対応を03年に行った。ここ数年来は年に10部程売れる程度でほとんど動きはなかったが、今年1月のキトサンコーワ社に対する家宅捜索を受けて3月に絶版処理をした」≫



ということだ。

書籍には、新刊時に書店に配送される「委託品」と、書店やお客からの「注文品」があり、通常は委託期間内に返品されたものについては書店は支払う必要はない。だが注文品の場合は、既に書店が買い取ったことと同じになり、時に予約した客がキャンセルしたりすると、書店は棚に並べて売ろうということもある。

10年も前の本で年に10部ほどしか売れてなく、昨年3月には絶版処理していたという本で、その一部が書店に残ってたというだけで、元社長はじめ社員やライターまで逮捕されるというのはかなり異常なことだと思う。

篠田博之氏が昨年の年末に行われた公判を傍聴したとして、次のように書き出している。

≪同業の現役編集者が手錠腰縄姿で入廷したのを見た時には、ちょっと深刻な思いにとらわれました。この事件は昨年10月6日に、現役編集者やフリーライターら4人が薬事法違反容疑で逮捕されたもので、その後2人が不起訴で釈放されましたが、元社長と現役編集者はこの公判まで勾留され、接見禁止でした。編集者やライターがいきなり逮捕されるという、言論・出版に携わる者にとっては大きな事件であるのに、大手マスコミの関心は薄く、逮捕があったことさえ知らない人も多いようです。(The Journal 2012年1月15日)≫




***にほんブログ村 政治ブログへ***人気ブログランキングへ******


確かに当時、報じられた記事は少なく、内容も薄いものだった。

薬事法違反で医師を書類送検=「がんに効く」宣伝本を監修-神奈川県警(時事通信2011/10/18-13:06)

「がんに勝つ」と広告、出版社元社長ら5人を薬事法違反容疑で逮捕/神奈川県警(神奈川新聞2011年10月6日)

効能本、今も店頭に 流通の規制難しく(朝日新聞2011年10月7日)

明日はわが身であるはずのマスコミも及び腰といったところだ。

元毎日新聞記者の古川利明氏が自身のブログで、独自の鋭い嗅覚で見立てをしているので、その部分だけ抜粋してみる。

■『古川利明の同時代ウォッチング

≪コイツは、ワシの見立てが、コワイくらいにドンピシャリと当たってしもうたなあ(笑)。うーむ、版元の現代書林には、こんなことを言ってしもうて、本当に申し訳ないんだが、今回のジケンは、「運が悪かった」としかいいようがない。たぶん、「タイホの指示」は、「上」、つまり、「サッチョウ」から降ってきておるんだと思う。で、たまたま、神奈川ケンケイが、このネタを、どこからか知らんけど、聞いて、知っておったんで、「とにかく、誰でもいいから、稲葉の野郎の代わりに、血祭りに上げろ!」で、神奈川ケンケイが「ハイ、ではウチがやります!」で、ピャーッと突っ走ったんだと思うなあ。コレは、本当にヒドイよなあ。≫



≪「キトサンコーワ」を巡る、現代書林への言論出版弾圧ジケンで、タイホ、コーリューされた元社長と社員に対する「コーリュー理由開示」が、昨日(11・9)、横浜チサイであったそうで、サイバン所は「罪障隠滅」と「逃亡の恐れ」を理由に、保釈を認めておらんのだそうだ(**)! 版元曰く、「病気持ちの隠居老人に、ちゃんとした家庭を営む会社員が、どうして逃亡するのでしょうか」とのことなんだが(笑)、「いいか、キソ事実を否認して、コッ家ケンリョクに楯突くと、こういうことになるんだぞ!」っていう、まさに、人質司法そのものだよなあ。
 そもそも、今度のジケン、「道警史上最悪の警部」とまで断罪され、拳銃のヤラセ摘発etcをバクロした稲葉圭昭の『恥さらし』(講談社)の販売当日の摘発だったということもさることながら、タイホ容疑、つまり、「戒名」が、厚生ショウの認可を受けていないクスリを販売したことに絡む「薬事法イハン」だろ。その「キトサンコーワ」が、果たして、医者が処方したり、薬剤師のおる薬局でないと買えん「クスリ」に該当するか、どうかだよなあ。(2011年 11月 10日)≫



『恥さらし』は、本ブログの「お薦め本」としては紹介しているので、一読されたい。

そして、これも関連性があると思われる日刊ゲンダイのガサ入れも、古川氏は、この一連の流れと同じだと推察しているようだ。

≪今日(10・27)、桜田門のホアン課が、違法風俗営業店の広告を載せたとして、日刊ゲンダイを「風営法イハン」の「幇助」でガサ入れかあ。そういえば、昨日、横浜チケンが、その「がんに効く」を謳い文句に、「キトサン」っていう、健康食品っていうか、サプリを販売しておった八王子の「キトサンコーワ」の経営者と、その紹介本を刊行した「現代書林」の元社長と社員をキソしておったんだよな。戒名はいずれも「薬事法イハン」だが、キトサンコーワに対しては「医薬品の無許可販売」、現代書林は「未承認医薬品の広告」なんだよな。だから、当初の現代書林に対するタイホ容疑だった「医薬品の無許可販売の幇助」については、立ケンを見送った代わりに、「未承認医薬品の広告」の方を引っ張り出したんだな。≫

≪今回の日刊ゲンダイもそうだが、「搦め手」から、弱いところからピャーッと締め上げたんだろうなあ。だって、その「キトサンコーワ」を摘発した「10・6」ってのは、あの「道警史上最悪の警部」とまで断罪された、稲葉圭昭の手記『恥さらし』(講談社)の販売初日だからなあ。コイツに対する意趣返し以外の何物でもないだろう。
 連中、アタマに血が昇っておったんで、要は、「振り上げた拳を下ろす先」なんて、どこでもよかったんだ(笑)。その意味では、今度の「キトサンコーワ&現代書林」は、まさに「生贄」で、可哀相だよなあ。んで、日刊ゲンダイも「講談社系列」だからなあ。ま、「イヤガラセ」だよなあ(2011年 10月 26日)≫




***人気ブログランキングへ*** にほんブログ村 政治ブログへ******


参照

「日刊ゲンダイ」に違法風俗店の広告掲載 警視庁、容疑の社長逮捕、日刊現代本社を捜索
(産経新聞2011.10.27)


日刊ゲンダイへのガサ入れ 捜査員が押収した物は新聞など僅か
(NEWSポストセブン2011.11.01)
締め切りさ中の忙しい時間帯に突如訪れた“隊列”に、編集者たちは皆、驚くほかなかった――。10月27日午前9時30分頃、東京・築地の日刊現代本社に警視庁の捜査員15名ほどが家宅捜索に入った。
これは、同社が発行する夕刊紙「日刊ゲンダイ」に違法風俗店の広告を掲載した広告会社の社長が風営法違反(禁止地域内営業)幇助の疑いで逮捕され、その関係先として捜索されたものだ。
「家宅捜索の直前から、テレビ局や新聞社の記者が本社の前にゾロゾロ集まり始めました。聞くところによると、警視庁は9時ごろに記者クラブに“これから日刊ゲンダイをやるよ”とレクをしていたらしいです。捜査員は関係部署の資料を日刊現代社内の3階奥の会議室に集め、およそ1時間半かけて検分していました。
ただ、10人以上も捜査員が来たわりには、押収物は過去の新聞などごくわずか。テレビで押収物を入れた段ボール箱が大写しになっていましたが、大半はスカスカだったはずです。
会社側はあの広告が違法風俗店のものだとは知らなかったわけだし、そもそも広告を掲載しただけなのだから、家宅捜索など必要ないはず。何か別の意図があるとしか思えません」(日刊現代関係者)
報道機関に家宅捜索が入るのは極めて異例。役員や社員の個人的な犯罪に関連して行なわれたケースを除けば、95年にNHK職員がオウム真理教幹部から資料を預かっている疑いでNHKが家宅捜索された例がある程度だ。
※週刊ポスト2011年11月11日号



先日も、市民団体が田代政弘検事を刑事告発した同じ日に、経済産業省の木村雅昭元審議官が株のインサイダー取引の疑いで東京地検に逮捕された。

こうした目くらましなどは、全体を俯瞰して見られる司令塔がいるはずで、今回の現代書林の事件では「サッチョウ」だとの古川氏の見立てである。


***にほんブログ村 政治ブログへ***人気ブログランキングへ******


オランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏の論文「日本政治再生を巡る権力闘争の謎」(参照)の中で、日本の権力構造の成り立ちを考察している。 

日本の超法規的な政治システムが山県有朋の遺産だとすれば、検察というイメージ、そしてその実質的な役割を確立した人物もまた、日本の歴史に存在する。平沼騏一郎(一八六七~一九五二年、司法官僚・政治家)である。彼は「天皇の意思」を実行する官僚が道徳的に卓越する存在であることを、狂信的とも言える熱意をもって信じて疑わなかった。山県のように彼もまた、国体思想が説く神秘的で道徳的に汚れなき国家の擁護者を自任していた。マルクス主義、リベラリズム、あるいは単に民主的な選挙といった、あらゆる現代的な政治形態から国を守り抜くべきだと考えていたのである。
 一九四五年以降も、平沼を信奉する人々の影響力によって、さまざまな点で超法規的な性格を持つ日本の司法制度の改革は阻止された。ある意味では現在の検察官たちの動きを見ていると、そこにいまなお司法制度を政府という存在を超えた至高なる神聖な存在とする価値観が残っているのではないか、と思わせるものがある。オランダにおける日本学の第一人者ウィム・ボートは、日本の検察は古代中国の検閲(秦代の焚書坑儒など)を彷彿させると述べている。



司法官僚・検察・警察などの国家権力は、思想的背景として今もなお国体思想が集合的無意識の中で貫かれ、それに反するもの、邪魔をするもの、楯突くものは排除されるのかもしれない。



最後までお読みいただきありがとうございます

参考になったという方はクリっとお願いします
人気ブログランキングへ

賛同してくださる方は、再度クリッとお願いします
にほんブログ村 政治ブログへ

応援してくださる方は、拍手をお願いします

コメント

非公開コメント