武器輸出三原則危うい「議論なき緩和」 & 事故調中間報告 (東京新聞)

情報寸断 保安院怠慢 政府は混乱 事故調中間報告
(東京新聞「核心」12月27日)

 政府の事故調査・検証委員会の中間報告からは、刻一刻と深刻化する福島第一原発事故に対応しきれない政府の混乱ぶりも浮かび上がった。どう対応すべきか、決断に必要な重要情報の収集は最初から遅れた。過酷な事故現場の状況を把握できず、その結果、ベント(排気)や原子炉への海水注入といった重大局面で、無用の混乱を招いた。(森本智之)

 ■受け身姿勢

 中間報告がまず問題視したのは、政府の原子力災害対策本部の事務局でもある経済産業省原子力安全・保安院の怠慢だ。東電からの情報提供を待つばかりで、積極的に情報を集めようとする姿勢に欠けた。保安院には、事故直後から東電社員四、五人が派遣され、情報の連絡役に当たっていたが、報告は滞りがち。保安院側は不満を感じつつも、社員らに東電本店に電話させるだけで、主体的に職員を東電本店に派遣することもしなかった。
 東電本店には、当初からテレビ会議システムを通じて現地から続々と生の情報が入っていた。保安院は、テレビ会議が行われていることすら把握していなかった。
 受け身の姿勢は、現地の保安検査官たちも同様。福島第一にいた検査官らは、放射線量の上昇などを理由に、1号機の原子炉建屋が爆発する十二日の朝までに、約五キロ離れたオフサイトセンター(OFC)などへ撤退。生の情報が入らないため、現地対策本部の指示で福島第一に戻されたが、前線指揮所がある免震重要棟では、別室で東電社員から資料をもらって伝えるだけだった。しかも、彼らは十四日には政府の了解も得ないまま、OFCに再び退避した。

 ■認識のズレ

 問題は、首相官邸側にもあった。官邸五階には菅直人首相(当時)ら政府首脳をはじめ、武黒一郎東電フェローや班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長らが集まり、避難区域の設定や、ベント、海水注入などを検討していた。
 だが、官邸側が頼みにする武黒氏の役割について、官邸と東電の間に大きな認識のズレがあった。東電側は一時的な状況説明のために武黒氏を派遣したつもりだった。しかし、刻々と変わる現状を十分伝える態勢にはなく、必要なときに武黒氏に携帯電話で東電本店などに連絡を取ってもらうありさまだった。十二日午後に起きた1号機の水素爆発も、テレビで知ったほどだった。
 官邸地下に集まった各省庁の幹部による緊急参集チームも情報は不足。

秘密保持のため、地下は携帯電話が使えないようになっていたことも拍車をかけた。

 ■誤解の増幅

 官邸の情報不足は、対応策の検討にも混乱をもたらした。1号機のベントは、運転員が死を覚悟して原子炉建屋に入るような過酷な状態だったのに、それを知らない官邸側は「ベントをためらっている」と誤解。いら立った菅首相が十二日朝にヘリで現地入りした。

 海水注入の際は、現場は冷やすことを最優先にしたのに対し、官邸側は海水を入れることで原子炉が制御できなくなる恐れはないかと心配し、後に無用の混乱を招いた。

 十五日早朝、菅首相が東電本店に乗り込んだ一件も行き違いが原因だった。2号機の状況が厳しくなり、東電の清水正孝社長(当時)は寺坂信昭保安院長(同)に「今後は避難もありうる」と電話。その際、「プラント制御に必要な人員を残す」と明言しなかったため、寺坂氏は「プラントを放棄して全員撤退したいと申し入れがあった」と官邸に誤って報告した。



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武器輸出三原則危うい「議論なき緩和」
(東京新聞「核心」12月28日)

 政府が二十七日、武器と関連技術の輸出を禁止する武器輸出三原則を大きく緩和して、武器などの国際共同開発や生産を認めた理由は武器購入費の削減などにあった。ただ、武器輸出禁止の理想を事実上曲げることによって、日本がなし崩し的に「死の商人」になることや、ひいては国際紛争に加担する結果にはならないのか。 (冨江直樹、岩田仲弘)

◆なぜ緩和するのか コスト削減が狙い

 一九六七年に打ち出した武器輸出三原則は東西冷戦構造の中、旧共産国などへの輸出を禁じることが主な狙いだったが、冷戦後は規制を徐々に弱める方向に進んできた。
 二〇〇四年、小泉政権は米国とミサイル防衛(MD)システムに限って、共同開発で合意。今回の見直しはこれをさらに拡大し、友好国との間で自衛隊が使用する武器を共同開発・生産することを可能にしている。
 技術提供や共同開発を輸出と見なして、禁じたままでは、国際的な共同開発にいつまでたっても日本が加われないとの政府側の焦りがある。
 今回の見直しは民主党の前原誠司政調会長が九月、米国でその必要性に言及して、口火を切ったが、政府内にもともとあった議論で、自民党も考えは同じだ。

 政府の狙いは国際共同開発によって、武器のコストを引き下げることにある。例えば、戦闘機。最近、日本は次期戦闘機(FX)にF35を決定したが、米英など九カ国が共同開発した同機の購入価格は米国の場合、一機約五十億円、日本の場合は約九十九億円で大きな差がある。
 この差は日本が開発に加わっていないことが理由で共同開発に加われば、ほとんどの武器が現在よりは安く購入することができると考えている。
 共同開発によって、武器関連テクノロジーの国際水準を維持したいほか、国内防衛産業の活性化にもつながるという判断もある。

◆問題はないのか 技術流出の恐れも

 共同開発を通じて国際社会に流出した日本の技術が目的外で「悪用」されるケースも考えられる。

 藤村修官房長官は記者会見で日本に対して共同開発の申し入れがあった場合はそれによって、国際紛争を助長するようにならないか、信用できる国かどうかを厳格にチェックすると強調。目的外使用や第三国に移転する場合は日本の事前審査を義務付けてもいる。
 政府が共同開発の相手国として想定しているのは、欧米などの北大西洋条約機構(NATO)加盟国と豪州、韓国など。信用できる国とはいえ、技術者らを通じて日本の技術が悪用されない可能性は完全には否定できない。

 また、いったん、日本も開発に加わった武器を持った国がどんな軍事行動に出ても日本には武器の使用禁止を求めるようなことはできない。
 ある防衛省幹部は「共同開発した国がその後、どういう紛争を起こし、完成した武器をどう使うかまでは分からない」という。結果的に「死の商人」になってしまう可能性もあるのだ。

◆憲法に違反しないか 規定ないが国会を軽視

 憲法九条は日本の海外での武力行使を禁じているが、武器輸出については言及していない。武器輸出を武力行使と見なすのは困難で、憲法には違反しない。ただ、これまで武器輸出三原則によって築き上げられた、平和国家日本の国際社会に対するイメージは損なわれるとの見方もある。

 今回の緩和によって、国連平和維持活動(PKO)で自衛隊が使用するヘルメットや防弾チョッキなどを派遣先の国に譲ることが認められるなど、プラス面もある。これまではヘルメットなども武器と見なされ、武器輸出にあたるため、供与できなかった。
 ただ、問題なのは政府見解とはいえ、政府が国会や国民の声を十分に聞かないまま、緩和に踏み切ったことだ。三原則見直しに反対する公明党の山口那津男代表は「国会でどれほど議論したのか。今の政権には確固たる信念や見通しがない」と批判した。






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