原発3首脳更迭 なぜいま? 首相が手柄横取り!? (東京新聞)

原発3首脳更迭 なぜいま
(東京新聞「こちら特報部」8月5日)

首相が手柄横取り!?  

原発官僚トップ三人を更迭-。原発事故発生から五カ月近くたっても収束作業が遅々として進まない中、菅政権は政治家の責任を棚上げして、官僚に事故対応の責任を押しつけた。原子力行政の組織改革すら実施していないのに、なぜ官僚のクビだけをこの時期にすげ替えるのか。いったん退陣の意向を表明しながら一向に辞めない菅直人首相と海江田万里経済産業相が、いまやるべきことは何か。(佐藤圭、出田阿生)

 海江田氏は四日朝、周囲に「浜岡の時と同じではないか」と不満を漏らした。
 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は今年五月、菅首相の要請で全面停止に追い込まれたことになっている。脱原発を求める世論は喝采を送ったが、永田町・霞が関の一部の見方は違った。
 その見方とは「全面停止の流れをつくったのは海江田氏。首相は、手柄を横取りしただけだ」というものだ。今回の原発官僚トップ三人の更迭も、首相が自らの延命策に利用しようとしたのではないか-。冒頭の海江田氏のつぶやきは、それを裏付けるものだ。

 鳩山由紀夫前首相は、四日昼の鳩山グループの会合で、この辺りの事情を明かした。海江田氏は鳩山系だ。
 「首相官邸が、次官らを更迭したと伝えられているが、事実は必ずしもそうではない。(海江田氏は)自分の身を処すると発言している。これを受けて、次官らが自分たちも責任を取ると言った」
 つまり、海江田氏は、原子力損害賠償支援機構法が三日に成立したのを機に、四日にも事務方三首脳とともに引責辞任する考えだった。ところが、菅首相がこれを許さず、“官僚たたき”による政権延命策に仕立て上げたというわけだ。

 鳩山グループの川内博史衆院議員も「海江田氏本人から四、五日前、引責辞任案を聞いていた」という。
 「官邸へ相談に行った際、まんまと手柄をパクられたのだろう。一番罪が重い首相が、官僚だけ切り捨てて生き残ることはあり得ない。首相はこの国を滅ぼそうとしている。日本国民共通の敵だ」
 昨年九月の民主党代表選で、菅首相に投票した政務三役の一人も怒りをぶちまける。
 「首相こそ真っ先に辞めるべきだ。菅氏に投票した国会議員二百六人のうち、今でも首相を支持しているのは数人。こんな見え透いたことをやっても内閣支持率は上がらない」

 この政務三役は、海江田氏の対応にも疑問を投げかける。
 「海江田氏は、賠償支援法案と再生エネルギー特別措置法案の成立後に辞任する意向を示していたが、エネルギー特措法案はいつ成立するか分からない。賠償支援法の成立は辞任する絶好のタイミングだったが、逃してしまった」
 野党にとっては、菅首相も海江田氏も同じ穴のむじなだ。自民党の谷垣禎一総裁は四日の記者会見で「総理、大臣の責任を棚上げする形の人事は疑問だ」と批判した。

 ある自民党秘書は、あきれ顔で言う。「民主党は政治主導と言っているが、それなら政治家が真っ先に責任を取るべきだろう。海江田氏も、辞任する気がないのではないか」
 被災者は、更迭劇をどうみているか。
 自宅や社屋を津波で流された宮城県石巻市の建設業者(46)は「官僚の給料は国民の税金。上司の菅首相が気にくわないからと、事故後にちゃんと動かない官僚なら更迭されて当然」と言う。「事故や(原発関連シンポジウムなどの)やらせ問題に関しては、東京電力は官僚と同罪。東電幹部も断罪すべきだ」とも。

 東電福島第一原発から二十キロ圏内の警戒区域にある福島県南相馬市小高区、農業西山雄助さん(73)は「事故の国対応はひどく、官僚が責任を取るのは当たり前。人の命を何だと思ってるんだ」と憤る。
 同市原町区に避難中の西山さんが、一時帰宅したのは一度だけ。地震で散乱した室内を片付ける暇もなかった。「ずっと家に戻れねえ。田畑も荒れ放題だ。農家は、春先にやらなきゃいけない準備がいろいろあったのに」。責任問題より生活再建が重要ときっぱり。

 電力会社にも不信が募る。「東電だって真実を言ってねえことがあっぺし。事故を収束させてからでないと難しいだろうが、官僚のクビを切るだけじゃ中途半端だな」
 「誰が辞任すべきだとかいう話は、今ははっきり言ってどうでもいい」。原発から約三十五キロ離れた同県三春町で、鍼灸(しんきゅう)治療院を営む橋本俊彦さん(54)は、事故から五カ月近くも経過したのに、子どもの健康対策がとられていない現状を憂える。

 事故後、放射能との関係は不明だが「鼻血や下痢が続く」「ぜんそくやアレルギーが悪化した」という親の訴えを聞いてきた。町内の空間線量は平均毎時〇・五マイクロシーベルト前後と高いままだが、校庭の部活動が再開された。「時間がたつにつれ、みんな疲れて放射能や汚染に鈍感になってきている。子どもの疎開や学校の県外移転を一刻も早く実施すべきだ。国が主導しないと地元は動かない。形式的な責任追及よりも、放射能汚染対策でしっかり責任を果たしてほしい」

 識者の見方はどうか。
 政治評論家の小林吉弥氏は、更迭の是非よりも時期に注目する。「原子力安全・保安院など経産省幹部が推進派というのは周知の事実。事故直後に人事を刷新すれば意味があったが、今大きな組織改編をすれば事故処理が滞るだけ」と指摘。

 さらに「菅首相の政権延命策なのか、世論のガス抜き目的なのかは分からないが、どちらにしても効果はない」と断言する。「そもそも官僚の原発推進体質が、人事で一朝一夕に変わるわけがない。今、世論の関心は、事故収束や放射能汚染食品対策だ。官僚の人事異動に興味はない」
 政治評論家の森田実氏は、今回の更迭劇を「単なる政治家同士の争い。けんか上手の菅首相に、引き際を失した海江田さんが負けつつある構図」と分析する。
 「海江田さんは、浜岡原発停止や全原発のストレステスト問題が出たときに、菅首相を批判して辞任すればよかった。時期を逸したせいでやらせ問題の引責で辞任という形に追い込まれつつある」

 やらせが問題となった国主催の原子力関連シンポジウムは「原発を推進する国と、反原発市民団体に乗り込まれて団体交渉をされたくない電力会社と、シンポジウムが報道されることでメッセージを発信できる同市民団体の妥協の産物。当事者同士、やらせがあるなんてことは暗黙の了解だったはず」と指摘する。
 「東電・政治家・官僚は三位一体で原発を推進してきた。東電は膨大な資金で政界を牛耳り、官僚を子分に従えてきた。今回は、三者のうち一番下っ端の存在(官僚)を切り捨てただけ」と森田氏。「更迭は、官僚より罪が重い政治家や東電の責任問題から国民の目をそらすのが目的。まず辞任すべきは菅首相、次いで東電幹部だ」

<デスクメモ> 菅首相は、脱原発を「私的な思い」で宣言し、企業団体献金禁止に「徹底的に踏み込む」と言明した。だが、その言葉は「菜っ葉の肥やし」だ。かけ声(かけ肥)だけで行動が伴わない。すでに退陣の意向を表明した首相は、夏のお化け以外怖いものはないだろうから、当たって砕けていいはずだが…。 (立)





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8.6ヒロシマ8.9ナガサキ3.11フクシマ

[ミッション達成に成功するためには優先順位をつけることが大事]

>核廃絶、脱原発、脱対米従属!脱水にご用心!(大脇道場さま)
>>http://toyugenki2.blog107.fc2.com/?no=2233

すぐに達成できること。
1.「脱水にご用心!」自分一人ですぐできます。用心するだけでOK牧場ですから。

2.「脱対米従属!」これも日米地位協定を破棄すると国会か国民投票で決議するだけで完全に即時発効し、脱対米従属達成できます。

すぐには達成できないこと。
「核廃絶、脱原発、」こちらは2つともまず脱対米従属を達成しておかなければいくら時間と費用を投入しても達成不可能です。
対米独立してから段取りよく取り掛かっても達成には10年単位の時間がかかると思われます。その間は国家節電と化石燃料と代替エネルギー移行を三本建てで並行して辛抱強く続けなければならないでしょう。