日々坦々

日々の出来事をボヤキつつ、日本が直面している諸問題の根源を追求する




「官僚にとり、国民をだまして誘導しようとするのは、ある種の職業病」(東京新聞)

Category: 官僚   Tags: 東京新聞  保安院  やらせ  

「民意偽装」の罠をどう脱する?
(東京新聞「こちら特報部」)

 玄海原発をめぐる「やらせメール」問題は、経済産業省原子力安全・保安院に飛び火し、「民意偽装」に立脚した原発の怪しさを浮き彫りにした。民意の偽装は自民党政権末期に教育基本法改正や裁判員制度導入をめぐっても暴露され、批判にさらされた。それでも止まらなかった。株主総会への社員やイベントへの「さくら」の動員は古くからある。“あしき伝統”の根絶に妙案はあるのか。 (小国智宏、中山洋子)

 国主催のシンポジウムが今回の「やらせ」の舞台になったが、「民意をくむ」という手段の代表格は「パブリックコメント(パブコメ)」だ。
 国や自治体の政策立案の過程で意見公募をするもので、二〇〇六年四月から行政手続法に盛り込まれ、義務化された。
 スタート直後、原発をめぐり「事件」が起きた。同年九月に決定した原発の耐震指針の見直しの過程である。四月に原案がまとまり、五~六月に原子力安全委員会がパブコメを公募した。

 七百件近くの意見が殺到した。当時、同委員会耐震指針検討分科会委員だった石橋克彦・神戸大名誉教授(当時は教授、地震学)は「公募の期間中、中国電力と国が見逃した活断層の存在を研究者らが実証したこともあり、第一線の研究者らから専門的な意見が寄せられた」と振り返る。
 石橋氏らはこれらの意見を土台に「十分な審議を尽くすべきだ」と訴え、その後、長時間の議論が五回あった。しかし、事務局側は「議論を蒸し返さない」と主張。原案を大幅に修正しないよう求められたという。
 「大半の意見が切り捨てられた」と石橋氏は語る。この対応に抗議し、同氏は「専門家として社会に責任を果たせない」と委員を辞任した。
 ただ、こうした「切り捨て」ではなく、意図的に「民意」を形成する動きもある。企業や関係団体によるパブコメへの組織的な投書だ。

 〇四年に、携帯電話の電波規制方針をめぐり、総務省の意見公募には三万件が殺到。携帯電話への新規参入を狙う業者が全国のユーザーに意見を送るようメール配信したことが話題になった。
 パブコメではないが、〇七年には神奈川県が受動喫煙防止条例の制定前の県民アンケートでは、日本たばこ産業(JT)が、社員やたばこ店に反対票を投じさせたケースも注目された。
 そもそもパブコメ制度が「権力側のアリバイづくりにすぎない」と断じるのは、東京市政調査会の新藤宗幸・研究担当常務理事だ。「意見募集の際に、なぜその政策立案があり、意見を求めているのかの説明がない。一部の利害関係者以外には、理解不能な募集だ」

 川上和久・明治学院大教授(政治心理学)は“世論操作”のこうした例は「日本では、身近な問題でないと、意見を出す人が少ない。原発問題さえ“無関係”とみなされがちだ。ここに付け込むのは反対派も賛成派も同じで、パブコメもその趣旨通りには機能していない」と指摘する。
 今回、暴露された保安院による電力会社への「やらせ」指示は〇六年、〇七年の「プルサーマル発電」の是非をめぐるシンポジウムで起きた。
 この前後、国がやはり「やらせ」を企て、大きな問題となった。大臣らが国民と対話するというタウンミーティング(TM)がそれだ。

 教育改革や司法改革などをテーマに全国で開かれた百七十四回のTMのうち、百五回で事前に発言者が用意されていたことが判明。動員は政府側が七十一回、地方側が十三回。発言内容まで依頼した「やらせ質問」も十五回あったとされた。
 〇六年九月に青森県八戸市で開かれた教育改革に関するTMでは、質問者を事前に用意していたことが発覚。京都市で開かれたTMでは、市側が「応募者の中に、ほかのイベントでプラカードを掲げたりした者がいる」と内閣府に注進。内閣府の担当者は抽選に工作して二人を外した。

 最高裁が〇五~〇七年に開催した「裁判員制度全国フォーラム」では、共催した新聞社の一部が参加者に謝礼を支払って動員をかけていた。広告代理店を通じ、新聞社が運営を請け負っていた。 〇五年には、郵政民営化の政府広報で、随意契約したPR会社が提出した企画書に「ターゲット戦略」として国民を知能指数(IQ)で分類した記述があることが明らかになり、国会で問題化したこともあった。
 こうした例からは、今回の保安院の「やらせ」指示も氷山の一角であったことが分かる。

 ジャーナリストの斎藤貴男氏は「官僚にとり、国民をだまして誘導しようとするのは、ある種の職業病のようなもの。政策実現のためで、悪いことをしているという意識はない」と話す。
 「とりわけ、原子力政策については、反核感情の強い日本に原発を導入するのに世論形成を極めて重要視していた。原発問題では、当初から世論誘導の側面があった」

 ジャーナリストの魚住昭氏も「国策を導入するのに広告代理店やマスコミを使い、世論誘導をするのは裁判員制度でも原発でも常とう手段。原発の安全神話もそういう形で国民は信じ込まされてしまった」と話す。
 さらに新藤氏は「官僚は世論を吸収した形を演出しながら、政策を作ってきた。こうした密室性からの脱却を目指して情報公開法も作られたが、依然として何も公開されていない」と憤る。

 それでは、われわれはこの「民意偽装」にどう対処したらよいのか。
 タウンミーティングの「やらせ質問」問題で、内閣府の調査委員会委員を務めた川上教授は「TMや公募で、サイレントマジョリティーの意見をすくい取ることが難しいことが分かった。大多数の人々は受け身。意見を言わないままだと、世論操作は防ぎようはない」と困難さを吐露する。

 斎藤氏は「まずは疑ってかかることだ。シンポジウムの冒頭などで、責任者にやらせはないと宣言させてもよいのでは。もし、発覚したら責任をとってもらう。それでもダメなら、オンブズマンなど第三者機関による検証を常にやっていくしかない」と提案する。
 国民性に根ざす問題だけに安易な解答はなさそうだ。魚住氏はこう話した。「戦前も国民は信じ込まされて戦争に向かっていった。ただ、国にだまされたというけれど『だまされることの責任』を考える必要があることも忘れてはならない」

<デスクメモ> 「原子力ムラ」という言葉が広まったが、ムラ体質の国民性も原発を乱立させたといえないか。警鐘を鳴らす学者は異端として排除され、反対派住民は文字通りムラ八分にされた。ただ、事故の補償の負担や廃棄物処理といったツケは従順なムラ人に回される。「やらせ」もそうした風景の一部だろう。(牧)




参照動画:


20110801 保安院「やらせ」の実態 電力会社が暴露 投稿者 PMG5



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Comments

この国にまだ希望は残ってますか、
日本には正義がない!!
権力者には跪く、魂を売った、腐った汚い国。
滅んでしまえこんな国。と何回もくじけそうになったけど、日々坦々さんや、植草さんかっちさんきっこさんに下向くな、歯食いしばって頑張ろうと肩をたたかれてる気がします。一人ずつ、伝えていきます皆さんに頂いた。情報をかみ砕いて話してみます。
保安院はいけにえですね
いつも日々坦々さんの聡明な分析を拝見しております。

原発に関する情報は腹立たしいものばかりですが
この「やらせ」問題では
「保安院からやらせを依頼されたが
私たちはその要請を断った」と発表する電力会社が
卑しさがはらわた煮えくり返ります。
電力会社は保安院とグルどころか先導をしていたくせに
自分たちは正義面をして保安員を差し出す根性が
全てを語っていますね。

余談ですが
あの中部電力の広報担当の顔やしゃべり方が
前原に似ているだけに気分悪さが倍増です。

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