日々坦々

日々の出来事をボヤキつつ、日本が直面している諸問題の根源を追求する




宮城県石巻市指定の避難所で、生存率わずか5% 消えない「なぜ」 募る「どうして」(東京新聞)

Category: 東日本大震災   Tags: 東京新聞    

消えない「なぜ」 募る「どうして」
(東京新聞「こちら特報部」8月9日)

57人中54人死亡 石巻の指定避難所  宮城県石巻市指定の避難所で、生存率わずか5%-。東日本大震災で津波に襲われた同市役所の北上総合支所。そこにいた五十七人のうち五十四人が亡くなり、その中には隣接する吉浜小学校の児童七人ら一歳から十二歳の子ども十一人が含まれていた。なぜ安全なはずの避難所で犠牲にならなければならなかったのか。震災から五カ月たった今も、親たちの疑問は消えない。 (出田阿生)

 石巻市では、津波で大川小学校の児童七十四人が死亡・行方不明になり、大きく報じられた。一方、吉浜小の児童を巻き込んだ悲惨な被害状況については、あまり知られておらず、現場の北上総合支所へ向かった。
 支所は北上川河口のほとりにあり、吉浜小は道を挟んですぐ北側に位置する。目の前には太平洋が青く広がり、上流の対岸には大川小が見える。支所は、木造と鉄骨造を組み合わせた二階建て。太いコンクリート柱が扇子を開いたようになだれ落ちている。建物にまつわりつく銀のリボンに見えたのは、曲がった鉄筋だった。

 河口から真っ黒な壁となって押し寄せた津波は、住民らが避難していた支所二階海側の部屋めがけてぶつかってきたという。吉浜小学校は高さ約十メートルの校舎三階の天井まで浸水した。放課後で、児童四十九人のうち卒業式の準備で残っていた児童六人と教職員は校舎屋上に逃げて助かったが、支所にいたと思われる児童七人だけが死亡・行方不明となった。
 当時、吉浜小六年だった長女美里さん(12)がいまだに行方不明の会社員、千葉守さん(45)は「学校はなぜ、裏山に子どもたちを誘導しなかったのか。そこさ行ってれば全員助かったはずだ」と思い続けている。
 実は、津波発生時の吉浜小学校の避難先は、支所ではなく、学校の裏山「大盤平」と決まっていた。学校では毎年、そこで避難訓練をしていた。学校から頂上へ続く舗装道路まで、子どもの足でも五分。遠足の行き先でもあり、なじみの場所だった。
 支所の図書室にいた美里さんを、吉浜小の教員が地震後に確認していた。「なぜそのとき『逃げろ』と言ってくれなかったのか」。千葉さんの疑念はつきない。
 千葉さんは当時、仙台市に単身赴任中。その週末に帰宅し、美里さんに中学校の新しい制服とかばんを持たせて、記念撮影しようと計画していた。「優しい子だった」。一カ月休職して、毎日手でがれきをかき分け、捜索を続けた。「本当はいけないんだけど、倒壊した家屋の中に入ってちゃぶ台をひっくり返すこともした」

 吉浜小の教職員が美里さんの捜索を手伝うことはなかった。毎日、避難先の体育館から捜索に出かける千葉さんを学校関係者は見ていたはずだが、「彼らから声をかけられたことはなかった」という。
 建設会社従業員の岡一也さん(33)は、津波が来る直前、妻の裕美さん=当時(32)=から「支所に避難したから大丈夫」との電話を受けていた。
 一緒にいた吉浜小一年の長女優心(こころ)ちゃん=当時(7つ)、次女彩巴(いろは)ちゃん=当時(1つ)=も、妻と一緒に流された。「優心は竹やぶにひっかかっていて、寝てるような顔だった。彩巴はまだしゃべれなかったから、言葉を聞きたかった…」
 優心ちゃんは、支所の図書室で、幼なじみの同小三年奥田梨吏佳(りりか)ちゃん=当時(9つ)=と宿題をしてから帰宅するのが習慣だった。地震の後、吉浜小の教員が支所に様子を見に来て、二人に声をかけていたことが分かった。
 岡さんも「支所が指定避難所になってなければ、うちの子どもたちも妻も助かったかもしれない」と思う一人だ。妻の友人は、支所が指定避難所とは知らず、高台に逃げて助かったと聞いたからだ。
 遺体が支所の近くで見つかった梨吏佳ちゃんの母親、奥田江利子さん(46)は「支所は川のすぐそばの低い土地にある。なぜ先生は、大津波警報の後、臨機応変に裏山へ連れ出してくれなかったのか。避難のさせ方に『どうして?』っていう部分がいっぱいある」と話す。

 奥田さんは、両親と長男智史さん(23)も失った。智史さんは新婚で、残された妻に最近赤ちゃんが生まれた。「孫を育てることで息子には供養をしてあげられる。でも幼かった娘には何もしてあげられない」
 「最後に何があったのか知りたい」という保護者の強い願いで、震災から約二カ月たった五月三日、吉浜小と支所の合同説明会が開かれた。参加者は十数人。奥田さんは「納得のいく説明はなかった。しかも小学生の保護者だけが対象で、説明会を知らなかった遺族も多かった」という。
 吉浜小の門岡憲彦教頭は「授業中に津波が来ていれば、いつもの裏山に避難していたはずだ。でも放課後だった…。校舎に残った子どもたちについては、逃げる途中で津波に遭ってはいけないと屋上に避難させた」と説明する。

 北上総合支所は五年前、旧庁舎から約三百メートル下流に新設された。川沿いに支所を移す計画が浮上した際、市議や職員らの間には津波の危険性から反対の声もあったという。
 石巻市の担当者は「県の防災計画では、宮城県沖地震で想定される津波の高さは五・五メートルだったので、支所の新庁舎は海抜六メートルに建設した」と話す。支所で生き残った三人のうちの一人、市職員の今野照夫さん(50)は「結果的には避難場所として適当ではなかった。基準は満たしていたが、それで良かったのか問い続けなければならない」と苦悩する。

 前出の千葉さんは、捜索活動のあり方にも疑問を投げかける。
 「警察や自衛隊の捜索活動に住民を付き添わせてほしいと要望したが、五月の連休まで実現しなかった。地形や人間関係を知り尽くした住民が一番役立つのに」。被災当時、どこにいて、どう流されたか。推測しながら捜索すべきだと考える。遺体発見時も、住民が特徴を見分けて連絡を取り合えば、身元不明者として遺体安置所に置き去りにされる率も減らせる。

 いまも行方不明者の家族は捜索を続けている。支所に避難していた妻(29)と長女(1つ)が見つからない男性(30)は、この五カ月、仕事以外の時間を捜索に費やしてきた。最近は支所付近ではなく、海沿いを歩き回る。
 男性は、涙をこらえながらつぶやいた。「『安全だから逃げて来い』と言われて行った指定避難所でこんなことに…。そのことで行政を責める気はない。ただ、何でも想定外で片付けられては、やってられねえ」

<デスクメモ> 亡くなった子どもたちのあどけない表情が胸に迫る。成長する子どもの姿を、家族はどんなに楽しみにしていたことか。悲しみや怒りをどこにぶつければいいのだろう。自然の猛威になすすべがなかったとしても、この悲劇を繰り返さないために、できることをするしかない。残された私たちの使命だ。 (立)





参考になったという方はクリっとお願いします
人気ブログランキングへ

共感したという方は、再度クリッとお願いします
にほんブログ村 政治ブログへ

全くその通りと思えた方は拍手をお願いします



「広告」



Comments

やっぱり人工地震なのでは?
体裁のいい姥捨て山じゃないですか!(怒

Leave a Comment

物言えぬ恐怖の時代がやってくる 共謀罪とメディア
物言えぬ恐怖の時代がやってくる 共謀罪とメディア
昭和初期政治史の諸相―官僚と軍人と党人
昭和初期政治史の諸相―官僚と軍人と党人
ある日うちの愛犬が介護老犬に! - みんなの家族になれて良かった
ある日うちの愛犬が介護老犬に! - みんなの家族になれて良かった (MyISBN - デザインエッグ社)
フォントサイズ変更
文字を大きくする 文字を規定のサイズに戻す 文字を小さくする
Page Selector
ブログ内検索
<< 全タイトルを表示 >>
辺野古問題をどう解決するか――新基地をつくらせないための提言
辺野古問題をどう解決するか――新基地をつくらせないための提言
新貧乏物語――しのび寄る貧困の現場から
新貧乏物語――しのび寄る貧困の現場から
ジリ貧大国ニッポン
ジリ貧大国ニッポン
在日米軍 変貌する日米安保体制
(激トーク・オン・ディマンド vol. 11)
在日米軍 変貌する日米安保体制 (岩波新書)
生涯投資家
生涯投資家
東京大改革 小池百合子の戦い
東京大改革 小池百合子の戦い (別冊宝島 2595)
ニーチェに学ぶ「奴隷をやめて反逆せよ! 」―まず知識・思想から
ニーチェに学ぶ「奴隷をやめて反逆せよ! 」―まず知識・思想から
rakuad2
世界の右翼
世界の右翼
信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体
信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体 (朝日新書)
人は、老いない
人は、老いない (朝日新書)
どアホノミクスの断末魔
どアホノミクスの断末魔 (角川新書)
築地移転の謎 なぜ汚染地なのか 石原慎太郎元都知事の責任を問う
築地移転の謎 なぜ汚染地なのか 石原慎太郎元都知事の責任を問う
rakuad03
日本中枢の狂謀
日本中枢の狂謀
東芝 大裏面史
東芝 大裏面史
日本人と右翼
日本人と右翼 (別冊宝島 2580)
徹底解剖 安倍友学園のアッキード事件
徹底解剖 安倍友学園のアッキード事件
共謀罪の何が問題か
共謀罪の何が問題か (岩波ブックレット)
スノーデン 日本への警告
スノーデン 日本への警告 (集英社新書)
原発より危険な六ヶ所再処理工場
原発より危険な六ヶ所再処理工場
「テロ等準備罪」にだまされるな (「計画罪」は「共謀罪」そのものだ)
「テロ等準備罪」にだまされるな (「計画罪」は「共謀罪」そのものだ)
「日米合同委員会」の研究――謎の権力構造の正体に迫る
「日米合同委員会」の研究――謎の権力構造の正体に迫る (「戦後再発見」双書5)
紙の爆弾 2017年 2月号
Kindle版
紙の爆弾 2017年 2月号 [雑誌]
実名告発 創価学会
「平和」を掲げてきた創価学会はなぜ変質したのか――。
実名告発 創価学会
スノーデン、監視社会の恐怖を語る 独占インタビュー全記録
スノーデン、監視社会の恐怖を語る 独占インタビュー全記録
『田中龍作ジャーナル』支援
tanaka.jpg
ひどい捜査 検察が会社を踏み潰した
ひどい捜査 検察が会社を踏み潰した (講談社+α文庫)
日本会議の研究
日本会議の研究 (扶桑社新書)
Search
はじめて読む日米安保条約
はじめて読む日米安保条約
一億総選挙革命
一億総選挙革命 (veggy Books)
機密解禁文書にみる日米同盟
衝撃の未来 世界の政治・経済はこれからこう動く
機密解禁文書にみる日米同盟
CD『大人は手遅れかも知れないが子供たちに伝えなければならないことがある』
yamazaki.jpg
注目サイト
日々坦々twitter
日本洗脳計画 戦後70年開封GHQ
日本洗脳計画 戦後70年開封GHQ (DIA Collection)
ひと目でわかる「GHQの日本人洗脳計画」の真実
ひと目でわかる「GHQの日本人洗脳計画」の真実
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
GHQの日本洗脳 70年続いた「支配システム」の呪縛から日本を解放せよ!
GHQの日本洗脳 70年続いた「支配システム」の呪縛から日本を解放せよ!
検証・法治国家崩壊 (「戦後再発見」双書3)
検証・法治国家崩壊 (「戦後再発見」双書3)
誰も語らなかった“日米核密約"の正体 安倍晋三・岸信介をつなぐ日本外交の底流
誰も語らなかった“日米核密約
Web Translate
Social bookmark
全記事表示リンク
QRコード
QR
 
[スポンサードリンク]
 
 
プロパガンダに対抗するために支援しよう!
sakurai_201602151133418d4.jpg
 
 
[スポンサードリンク] 2
 
 
IWJサポート
 
 
これから出る注目本
(予約可)
「軍学共同」と安倍政権・・・ 多羅尾 光徳 (著), 池内 了 (著), 山崎 正勝 (著), 西山 勝夫 (著), 河村 豊 (著), 土井 誠 (著), 竹内 真 (著) 新日本出版社 (2017/6/27発売予定)
「軍学共同」と安倍政権
新自由主義に抗して スーザン・ジョージと世界市民運動・・・ 日下部 史彦 (著) SSBパブリケーションズ (2017/6/28発売予定)
新自由主義に抗して スーザン・ジョージと世界市民運動
拉致と日本人・・・ 蓮池 透 (著), 辛淑玉 (著) 岩波書店 (2017/6/28発売予定)
拉致と日本人
東芝 原子力敗戦・・・ 大西 康之 (著) 文藝春秋 (2017/6/28発売予定)
東芝 原子力敗戦
海の放射能に立ち向かった日本人 ビキニからフクシマへの伝言・・・ 奥秋 聡 (著) 旬報社 (2017/6/30発売予定)
海の放射能に立ち向かった日本人 ビキニからフクシマへの伝言
日米開戦の正体 東條英機とゾルゲ事件・・・ 孫崎享 (著) 祥伝社 (2017/7/2発売予定)
日米開戦へのスパイ  東條英機とゾルゲ事件
憂国論 戦後日本の欺瞞を撃つ(祥伝社新書)・・・ 鈴木 邦男 (著), 白井 聡 (著) 祥伝社 (2017/7/4発売予定)
憂国論 戦後日本の欺瞞を撃つ(祥伝社新書)
僕らの社会主義 (ちくま新書)・・・ 國分 功一郎 (著), 山崎 亮 (著) 筑摩書房 (2017/7/5発売予定)
戦場 - 元国家安全保障担当補佐官による告発・・・ マイケル フリン (著), マイケル レディーン (著), 川村 幸城 (翻訳) 中央公論新社 (2017/7/6発売予定)
地政学から読み解く米中露の戦略 (別冊宝島)・・・大型本 宝島社 (2017/7/7発売予定発売予定)
東芝崩壊 19万人の巨艦企業を沈めた真犯人・・・ 松崎 隆司 (著) 宝島社 (2017/7/7発売予定)
日本一やさしい「政治の教科書」できました。・・・ 木村草太 (著), 津田大介 (著), AKB48 (著) 朝日新聞出版 (2017/7/7発売予定)
日本一やさしい「政治の教科書」できました。
三菱財閥 最強の秘密 (宝島社新書)・・・ 田中 幾太郎 (著) 宝島社 (2017/7/10発売予定)
マル暴捜査・・・ 今井 良 (著) 新潮社 (2017/7/14発売予定)
メディアの驕り・・・ 廣淵 升彦 (著) 新潮社 (2017/7/14発売予定)
人間の居場所 (集英社新書)・・・ 田原 牧 (著) 集英社 (2017/7/14発売予定)
コンプレックス文化論・・・ 武田 砂鉄 (著) 文藝春秋 (2017/7/14発売予定)
コンプレックス文化論
世界を動かす巨人たち <経済人編> (集英社新書)・・・ 池上 彰 (著) 集英社 (2017/7/14発売予定)
昭和・平成 日本の凶悪犯罪100・・・ 別冊宝島編集部 (編集) 単行本 宝島社 (2017/7/15発売予定)
日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る・・・ 青山透子 (著) 河出書房新社 (2017/7/17発売予定)
日本の裏社会 闇の職業図鑑・・・ 別冊宝島編集部 (編集) 単行本 宝島社 (2017/7/22発売予定)
ヒトラーの陰謀伝説・・・ 噂の真相を研究する会 (著) 宝島社 (2017/7/24発売予定)
原爆死の真実――きのこ雲の下で起きていたこと・・・ NHKスペシャル取材班 (著) 岩波書店 (2017/7/26発売予定)
 
 
オンライン署名
 
 
raku3-2
 
 
インターネット政党 「新党憲法9条」
Inter.jpg
 
 
raku3-2-03
 
 
注目ブログ
 
 
「フォーラム4」に賛同します!
F4001.jpg
 
 
巨大宗教と闘う髙倉良一教授を支援しよう!
sirobara03.jpg
 
 
azv3-2
 
 
DMM3-2
ブランドバッグ、ドレス、家電レンタル
 
 
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

 
 
ad-Kindle
 
 
Travel
 
 
DMM3-1
DMM.com DVD通販、レンタルなどの総合サイト
 

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...